続きみたいなもの2

 いくらなんでも、週に二回も雪が訪れるなんて以上だと思う。

 今年の冬が寒いとは、口癖のようにテレビで耳にしていたが、これほどだと彼は思ってもみなかった。

 砂糖菓子みたいな大粒の雪が、徐々に遊具に積もっていく様を眺めながら、彼女を待っている。

 雪の降る公園のベンチで、晴れの日には会えない彼女を。

 景色がぼんやりと霞んでいるような気がするのは、少しだけ疲れているからだろうか。

 来ないかも、しれない。

 少なくとも、彼自身はそう願っているのかもしれない。

 このまま彼女が来なくて、雪の中に待ちぼうけで。

 そ知らぬ顔で電話でもしてくれば、文句の一つくらいは言えそうな気がする。

 ふたりの関係が、間違っていると――そんな当たり前のことを、今更になって分かった風なふりをして。

 冷たくされれば、諦められそうな気がする。

「無理……だよな」

 そんな呟きが、口をついた。

 あの笑顔が。

 遠慮がちに抱きしめてくる腕が。

 けれど不安げに震える自分を隠すのがなにより下手で。

 こんな関係、とっくに後悔しているくせに。

 それでも、彼女が彼の温もりを求めていることが、彼にはよく分かる。

 だって、彼も彼女の温もりが何より欲しいからだ。

 今どこで、何をしているのだろうか――。

 視界が無いのは、目を閉じている所為だと気が付いて。

 ゆっくり目を開けると、見慣れた部屋の天井があった。

 頭がぼうっとしているのか、身を起こすのがやたら難儀そうだと思って、初めて彼は身体を重い気だるさが包んでいることを知る。

「――起きた?」

 見れば、キッチンから彼女がやって来る。ミトンを着けた手に、小さな鍋を危なげに抱えて。

 風邪を引いていたらしい。話を聞いた限りでは、彼女が公園に着いたとき、彼は意識を半分失った状態で、ベンチにもたれかかっていたということ。

 事実としては、その結果かどうかは分からないが、彼自身が今、ベッドに寝ているということ――。

「……無理しちゃ、ダメだよ」

 無理?そんなことを言うくらいなら、この関係を始めなければよかった。

 彼がそう思うなら、彼女も同じことに気が付いているはずなのに、彼女は今ここにいる。

 その温かさが、心に染み付いたように離れない。

 心待ちにしていた。夏休み――は大げさでも、遠足の日までを指折り数える子供みたいに。

 だけど言えない。そんなこと、彼女に伝えられるわけがない。

 重荷になると分かっているから。

 過ぎた思いは、彼女を縛るから――。

 彼はなんとなく目を逸らして、天井を眺める。

 彼女は、どんな表情でそれを見るだろうか、と思いながら。

「お粥作ってみたの。食べて」

 呼吸をするのもひと苦労で、食欲はなかった。

 彼が首を横に振ると、彼女が顔を覗き込むように見つめてくる。

「何か食べておかないとダメなんだからね」

 彼はまたそれを拒む。

 そんなやりとりがしばらく続いていたが、彼女の赤くなった目に気が付いたとき、意地を張っていた自分が馬鹿らしくなってきて。

 ついには彼が根負けして、仰向けに寝転がったまま、彼女が冷めたお粥を口に流し込むのをされるがままに甘受する。

 ――泣きたかったら、泣けばいいのに。

 誰のためかも分からないそんな言葉を、やけに水っぽいお粥と一緒に飲み込んだ。

コバワ(゜Д゜)!!花も恥らう水無瀬アズマです。

本日は久々の風邪でダウンしておりまして。

まったくの非生産的な一日を過ごしていたわけではありますが、

「冬→風邪→ダウン→看病」

という構図から妄想という名のエンジンが火を噴いたようではあります。

ただ思いつくままに書き殴って見直しもろくすっぽしていないので、後から見た自己評価についてはあまり考えたくないというか。

市販の薬で、風邪特有の人恋しさもなんとか抑えてくれればいいのに。

詩人だなあ、今の文章。

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続きみたいなもの

「誕生日、だよ」

 仕事を終え、部屋に帰ってテーブルの上にバッグを置き、気だるい気持ちで何気なく、本当に何気なくカレンダーを眺めたとき、彼女は今日という日がそうであったことをようやく思い出した。

 自身にとって、誕生日なんてただひとつ年を取ったことを否応なしに知らされる日でしかなくなっていた。誰が祝ってくれても、それはもう変わらない。

どんなに近しい友人であっても、どれほど愛する人であっても。

「――誕生日、だよ」

 呟く。ソファに身を投げ出し、背を起こして浅く座りなおしてから、小さな声で。

 「カレシ」は仕事が忙しい。今日は会う約束をしていたはずだったが、それもお流れになった。数日前にそのことを告げるメールも当然のことを事務的に報告するような文面で、謝罪の意なんて爪先ほども汲み取れはしなかったように思う。

 ふと、考える。「カレシ」はダメだけど、「彼」ならどうだろう。

 膝に手を当てたままの姿勢で、その考えを打ち消すために首を横に振る。

 自分は今、何を考えたのだろう。

 「カレシ」が晴れの日でないと外に出たがらないから、その代償みたいに求めた「彼」を、こんなときだけ都合よく使おうというのだろうか。

 もともとは自分の我儘だ。そんなことは「彼」も承知の上だったし、彼女も十分に自覚している。自覚しているからこそ、自分がどれだけ非道い人間か、一人きりになるとよく考えるようになった。

 涙が出そうになる。けれど彼女はそれを堪える。

 今呼び出せば、彼は皮肉交じりに応えてくれるだろう。ルールを自分から破った彼女を責めたりはしないだろう。

 彼は何でも受け入れてくれる。自分の思いを悟られまいと、ぎこちない笑顔で自分にまで嘘を吐きながら。

 胸の奥のほうが、ずきりと痛む。

 彼女は涙を流してはいけないのだ。彼から笑顔を奪った自分が、涙を見せていい理由などあるはずがない――少なくとも、彼女はそんなことを思っている。

 日付は変わろうとしている。テレビを点けるのもシャワーを浴びるのも億劫で、いっそのことこのままソファで眠ってしまおうかと、マスカラとシャドウで控えめに彩られた瞼を下ろそうとした、その時。

 バッグの中から、メロディが響く。

 「Me & Mrs.Jones」――ともすれば聞き逃してしまいそうに頼りない音量で、部屋に染み込んだ静寂を、ゆっくりと、ゆっくりと剥がしていく。

 メロディはすぐに止んだ。ほんの数秒の出来事に、彼女は瞼を開くしか反応できなかった。

 自分の体温で心地よい柔らかさになったソファから身を起こし、半ば眠りに落ちていたその足を動かして携帯を手にした。

 小さなプライベートディスプレイの画面には「彼」の名前と、メールが届いた証拠の封筒のマークが表示されている。

 折りたたまれた端末を開いて、自分でも信じられないほどに震える指でその中身を見た。

「無題」

「ハッピー バースデイ」

 あまりの素っ気無さに、笑いが零れる。

「バカ」

 ――誰が祝ってくれても、それはもう変わらない――

 そのはずだったのに――呟いた言葉は、幾分か明るく。

 それでいて、深い悲しみを思わせる音色。

 どうにもならない壊れた彼と、

 どうにも出来ない弱虫な自分。

 視界がゆっくりと、温かく、霞む。

 濡れたディスプレイを拭おうともしないで、彼女は、小さなそれを大切に包み込んだ。

こんばんは。猫のように気紛れだと自分でも思う水無瀬アズマです。

えーと、なんのことだか分からない人々はこちらこちらをどうぞ。

これからも気まぐれに続きみたいなものを書くかもしれません。

そうそう長くは続かないと思いますし、本当に、気が向けば、ですけども。

つーか、こんなことしてるならサイトに掲載するための文章を書けよ、とか相方から怒られそうな気もしますけども。

ちなみにこの文章をまとめて掲載しろと言われても、水無瀬は断固としてこれに抗います。

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先日の続きを書いてみたりもする

「――晴れたら、さ。どっか行こう」

 分かりきっている。彼女が晴れの日に彼と出掛けられないこと。

 晴れの日は「カレシ」と出掛けて――それ以外のとき、彼女はここにいる。

 それは晴れの日の代替か、晴れでないから彼と居たいと思っているのか。

 相手の心が分からない。

 そんな当然のことが、こんなに痛むことはない。

 誰よりも近くに居て。誰よりも、彼女を理解できない。

 だからそう言った。無理だと知りながら、その言葉を。

 ちょっとした皮肉のつもりで――

 どうにもならない彼女と、そして、どうにもできない自分に。

 本当はこうしているだけでいいはずだったのに。

 触れ合えたなら望むことはそれだけ――けれど、どうして伝えられないのだろう。

「ダメだよ。今日じゃなきゃ、絶対にダメ」

 ――分かってるよ。

「またいつ天気が悪くなってくれるか、分からないんだから」

 ――困らせたかっただけだ。

「だから、もう少し――こうしてたいな」

 そっと。怯えるような手つきで、背中に手を回し、彼の胸に顔をうずめて来た。

 その手の震えは、寒さからだったか。

 身体か――それとも、心か。

 彼女の身体が冷たかったなら、突き放すのに。

 どうして人っていうのはこんなにも温かで。

 それがどうしようもなく、今は悲しいと思うのか。

「……ん。大丈夫」

 彼女が顔を離す。温もりが去って、残るのは空虚。

「あったかい、ね」

「ああ」

「キミの部屋……帰ろ?」

「……ああ」

 伝えてはいけない気持ちがある。

 見透かす空は答えを拒むように曖昧なグレー。

 雪の白さに、ただ、泣きそうになった。

どうもこんばんは。実家で河豚を食べてきてウハウハの水無瀬でございます。

先日、久しぶりに相方と藍月以外からコメントを頂きまして。そのリクエストに応えさせていただきました(゜д゜)y-^

実際は前回の記事にあと2、3行ほどなんでもない文章を継ぎ足せばよかったのですが、ちょっとだけやるせないオチにしてみます。散文詩っぽく言葉を羅列させてみましたがどうでしょうか。

ここ数ヶ月、完全にカウンタは小椋叢葦と水無瀬のふたりで空回りさせているものかと思っていたので、緩みきっており身内ネタばかりでしたが、意外と見に来てくれる人もいるものなのだと帯を正す気持ちでございます。

いや芸風は変えないですけど。

あとごめんなさい。水無瀬のコメントですが、

→誤 Zephirさん

→正 Zephyrさん

浮かれすぎてHN間違えました。久々のコメントの上、水無瀬が雰囲気を台無しにして相方を脱力させるためだけに書いたあの文章に感想まで頂いて水無瀬はディスプレイの前で裸踊りしました。

ごめん嘘。「踊り」だけ嘘。

管理者のミスなので削除して書き直せばいいのですが、自らに対する罰として放置しておきます。

あとここで垂れ流されてる文章を少しでも面白いと思った方は少年時代に大切な何かを置き忘れてきた人か今すぐ医師の診断が必要な方なので速やかにお薬をもらってきた方がよろしい。何事も早めの対処がいいのです。

冷静になって考えてください。本当に面白いですか?

買ったものの使わずに放置していたら育っていたジャガイモの芽を慌てて除去し、電子レンジで蒸かしたものを昼食にするような人間の書く文章が本当に面白いですか?

ふわ!なんで昼飯バラしてんの俺(゜Д゜;

誘導尋問!?誘導尋問なの!?

ふぅ……慌てて日常生活を赤裸々に白状してしまうところでした。

暖房をなるべく使わないように布団を身体に巻きつけて過ごしていたら睡魔に勝てなかったことなどを危うくバラしてしまうところでした。

……水無瀬のプライバシーが侵害されようとしています。

とはいえZephyrさん、ご感想頂きどうもありがとうございました。この場所からお詫びと感謝を述べさせていただきます。

あと当ブログは毒性が強いので一度に大量に読むと頭が痛くなってきたりします。

用法、用量を守って服用してください。

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不穏な空気を漂わせつつ

「寒いね」

「ああ」

 公園のベンチ。雪に埋もれた風景で、ふたりはただそこにいる。

 空は雲で覆われているくせに空っぽのようで、それでも際限なく落ちてくる雪をふたりは眺めているから、たぶん思ったほどでもないのだろう。

「……寒いね」

「ああ」

「ね、」

「うん?」

「どっか行こうか」

「うん……」

 曖昧に頷くのは、寝起きで寒空の中に連れ出されたからで。

 どこに行かなくても――ここにさえふたりが居ればいい、と思う。

「もうちょっと、そっち、行ってもいい?」

「もう少し……って、」

 ふたりの肩は隣りあわせで触れ合っている。これ以上近付こうとも、どうしようもない距離がある。

 外的な距離は内的な距離を保つためにあるのだと思う。そうでなければ、誰が誰の心だか分からなくなってしまいそうで、そんなことを思い浮かべてみると、ちょっと背筋が寒い。

「コート借りるね」

 片方の腕だけ脱がせて、空いた空間に入り込んでくる。冷たさの後に触れ合う体温。

「来ちゃった」

 そんな笑顔で言われるから、

「……、ああ」

 そんな返事しか浮かばない。

 休日だから車の通りはほとんどない。時間が止まったような時を過ごす。

 舞い降りる雪。チャコールグレーのコート。体温。はにかんだ横顔。

 昼間のくせに慌てて光る時計を眺めながら、

「――晴れたら、

どーん!(゜Д゜)ノ ^┻━┻

どうもこんばんは!

将棋で詰まったら盤をひっくり返してノーゲーム主義の水無瀬です!

なにやら恋人たちの時間が描かれると思いましたか?

雰囲気の良さそうな短編が展開されると思いましたか?

そんなわけあるかい!ワーッショイ、ワーッショイ!

あ、お薬はまだ大丈夫ですドクター。

別に水無瀬は情緒不安定な人ではありません。いや、あるかも。

さりとて気が滅入っているわけでもありません。いや、あるかも。

やっぱりお薬くださいドクター。

落ち着きました。

本日は友人の誕生日プレゼントゥ(ネイティブ)を用意してまいりました。

仕事帰りに店を物色。イタズラにアイスクリームメーカーなど買っていこうかと思いついてにやけていましたが

ノリだけで買える金額じゃありませんでした

首が飛びますよO≡rz

そんなこんなで結局は何のヒネリもサプライズもなしに「自分が貰って嬉しいもの」という判断基準で二品ほど選び精算。

でも後々考えると水無瀬が貰って嬉しいものなんて人にあげたら嫌な顔されるようなものばかりですよ。

よし。

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